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脳幹を圧迫する頭の角度(Angle)がある? めまい、耳閉感、聴力低下…メニエール病を引き起こした「頭蓋-頸椎角度」の事例

2025-04-15

最近の研究では、メニエール病症状の背景に頭蓋頸椎角度異常が潜んでいる可能性が報告されています。

Cervicogenic Dizziness Associated With Craniocervical Instability: A Case Report (Journal of Medical Cases, 2021, Vol.12(11))

「部屋がぐるぐる回って、耳が詰まって、耳の中からウィーンという音が1日3回も襲ってきました」

40代の放送人Aさんは、メニエール病の診断を受けた後、4ヶ月間すべての標準治療を受けました。利尿剤と血液循環改善剤を服用し、減塩食を徹底的に守り、前庭リハビリテーション治療も地道に受けました。しかし、症状は全く良くなりませんでした。

聴力は低下し続け、放送中に台本を読みながら止まってしまうことが頻繁になりました。日常生活が崩れ、職業的危機まで訪れました。

ところが、彼が再び病院を訪れたとき、治療方針を完全に変えたのはたった一言でした。

「首が痛いんです」

メニエール病の隠れた背景原因

メニエール病は、内耳のリンパ液が過剰に蓄積されて発生することが知られています。内リンパ水腫(endolymphatic hydrops)と呼ばれるこの状態が、めまい、耳閉感、聴力低下、耳鳴りを引き起こします。

しかし多くの場合、なぜリンパ液が蓄積されるのか、その背景原因は明確に解明されていません。「内耳の問題」としてのみアプローチすると、Aさんのように標準治療を受けても症状が続く状況に陥ることになります。

頭蓋頸椎角度から始まる3つの障害

頭蓋頸椎角度の異常は

  1. 脳幹を圧迫し
  2. 脳脊髄液の流れを妨げ
  3. 内耳のリンパ排出まで妨害する可能性があります

これは前庭神経核機能の低下、頭蓋内圧の上昇、内耳のリンパ排出障害につながります。

頭蓋-頸椎角度とは何か?

頭蓋頸椎接合部に位置する脳幹(brainstem)は、呼吸をし、体を動かし、バランスを取るすべての信号がここを通過します。特に聴覚信号処理と平衡感覚を調節する前庭神経核が脳幹に位置しています。そして、この脳幹を支えている構造がまさに頭蓋頸椎角度です。

頭蓋-頸椎角度は、頭蓋骨(後頭骨)の下側と第2頸椎(軸椎)が出会う地点で作られる角度です(正常範囲:150~165度)。この角度が適切であってこそ、脳幹が圧迫なく正常に機能することができます。

しかし、この角度が狭くなると(150度未満)

① 脳幹圧迫により前庭神経核機能障害
② 脳脊髄液循環障害により頭蓋内圧が上昇
③ 内耳リンパ排出経路が遮断され内リンパが停滞します

この3つが複合的に作用して、メニエール病の典型的症状または類似症状を生み出す可能性があります。

画像の中で発見された手がかり

論文の医療陣は、Aさんの頸椎画像で重要な手がかりを発見しました。頭蓋-頸椎角度が約142度で、正常範囲より8度以上狭くなっていました。後頭骨が過度に前方に傾き、第2頸椎の配列も崩れた状態でした。この角度異常は、脳幹を前方から圧迫し、脳脊髄液の流れを制限し、内耳へ向かうリンパ排出経路を遮断していました。

4ヶ月間耳を治療しても良くならなかった背景には、耳の循環と排出を担当する頭蓋頸椎構造が崩れていたのです。メニエール病症状の背景には、このように頭蓋-頸椎角度異常が潜んでいる可能性があります。

3ヶ月の治療、そして回復

Aさんは頭蓋頸椎角度矯正のための非手術的治療を開始しました。後頭下筋を弛緩させて脳幹周辺の圧迫を緩和し、頸椎アライメントを回復して角度クッションを再建し、リンパ排出経路を正常化して内耳循環を改善する過程でした。

3ヶ月後、変化が現れました。めまい発作は1日3回から月1回未満に減少し、耳閉感と耳鳴りは80%以上減少しました。聴力も徐々に回復しました。頭蓋-頸椎角度は142度から158度へと正常範囲を回復し、画像でも脳幹圧迫解消が確認されました。

「放送進行が再び可能になりました。台本も滞りなく読めるようになりました」

頭蓋頸椎不安定症は隠れた原因

メニエール病、めまい、耳鳴り、聴力低下。

これらの症状は耳の問題としてのみ考えられがちですが、その背景には頭蓋頸椎不安定症が潜んでいます。あまり知られていなかった「頭蓋-頸椎角度」は、脳幹、脳脊髄液、そして内耳リンパ排出まで連結する構造です。頭蓋頸椎不安定症の回復は、困難と思われていたメニエール病回復の出発点となります。

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